ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

記憶の実(02)

先生「そうそう。…ロマンダには、イヴァリースのように黄色いチョコボはいないんだ。ここでの野生チョコボというのはさ、『プックル』と同じ茶色のチョコボと水色のチョコボと薄緑色のチョコボ黒チョコボのことを言うんだよね。黄色と赤のチョコボはいなくて…チョコボ全体の総数もイヴァリースほど、多くは生息していないんだって」

ラヴィアン「……。せんせぇ…ほんとに何でも知ってますね…」

先生「うふふ。この国にはちょくちょく来てて、住んでるから」

ラヴィアン「……『プックル』…もぐもぐ食べてる」

先生「そーだね。…わたしの道場に通っている子の家族が野菜農家をやってて、『七種豆』の袋をよく届けてくれるんだ。わたし一人じゃ、食べきれないから…どーしよっかな〜と、考えてたの。『プックル』の好物の豆が袋に入ってて、良かったよぅ」

ラヴィアン「へぇ。あっ…そうだ。この……赤い実を…食べさせると…『プックル』はトンヌラさんの所まで帰っていく、らしいです。…『道に迷っちまったり、誰も助けてくんねかったら…コレをコイツさ食わせてやって、オラの牧場まで戻ってきんさい』…て、あたしと別れる際、トンヌラさんが手渡してくれたんですけど…」

ラヴィアンが見せた濃い赤色の実を指でつまんだ先生は、それを凝視した。

先生「………。これは…深山でしか採れないといわれる、ピピオの実……。……ラヴィアン、トンヌラさんは“本物”のチョコボじいさんだよ。…すばらしい人だね」

ラヴィアン「は、はい……あの…その実…すごいもの、なんですか?」

先生「…この実がすごい、というよりは……別名“記憶の実”と呼ばれるこれを食べさせることによって、“指定した場所までチョコボを移動させる技術”をチョコボへ仕込んでいるんだもの…。『鳥聖(ちょうせい)』にしか、できないことだよ。そうか……そうやって…ピピオの実って、使うものなのか……」

黙って話を聞いていたラヴィアンは泣きそうな声を出した。

「…………せんせぇ、あたし…ここにいても、いいですか?」

先生「へ?いいよ、いいに決まってるじゃない。…この道場は広いからさ、好きなところで寝てみて。明日、天気が良かったら…この実を『プックル』へ食べさせて…トンヌラさんの牧場まで帰してあげようよ。わたしがお手紙書いて、『プックル』に付けてあげるから。…ね、ラヴィアン」

にっこりした先生は、ラヴィアンの手にピピオの実を戻した。

「……はぃ。はぃ。せんせぇ…あり、がとう…ございますぅ……」

じわりと涙が出てきたラヴィアンは両目をおおった。

先生は隣に立っていたラヴィアンを抱きしめてあげた。

「うん、うん……もう…心配いらないよ……」

ラヴィアンは先生にしがみついて泣いた。

自分一人では、何もできない。

ここでラヴィアンは自らの無力さを痛感したのだった。

茶色いチョコボは二人の人間へと顔を上げた。

チョコボと目があった片目の女が笑顔でうなずいたため、チョコボはまた食べ始めた。