ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

炎と水の会話(04)

「…ううん。…アルマ様を奪回しなければ、いつまでたっても、ラムザさんは安心できないよ。明日、オーボンヌ修道院へ出発する予定だから…早く、休もう」アリシアはもっともなことをラヴィアンへ伝えた。

二人のいる隣の部屋にはラムザアグリアスが眠っていた。

さらにその隣の部屋には、オルランドゥ伯爵が泊まっていた。

貿易都市ドーターの北側にはスラム街があり、ラムザ達は町の南側で宿を取っていたのだ。

ラヴィアンの寝息を窺(うかが)いながら、暗闇の中でアリシアは思っていた。

………もう少し、もう少しで…わたしの願いはかなう。

そう…あと、少々。

ほんの僅か、だ。

…………あいつらの件も含め、やるべきことは全て…終えた。

今回の人生でやりたかったことはすべて終えた。

…人の生というものは本来、愛と光の中にあって、素晴らしく輝いているもの。

自らのやりたいことが好きなだけできる、ということ自体が、人へ生まれた喜びそのものなのだから。

それができない、なんて……「ばかばかしい」の一言で済む問題ではない。

もはや、人の生とはいえない。

闇の中へと生まれ落ち、闇の中で悩んではもがき続ける、そんな一生など不要だ。

それは、人にとってあるべき生ではない。

誤り、偽りの生だ。

誤っているもの、偽っているものは出来る限り、早急に終わらせる必要がある。

…………。

ぐっすりと眠って…長い長い、長すぎるけれど…楽しい夢をみる。

とても幸福な夢を思う存分、楽しむ。

それから…すっと、目が覚める。

今まで見たこともなく、行ったことも、聞いたことも無い、全く知らない場所で目覚める。

その時、わたしはわたしではなくなっている。

そう…これまで、やったことがないことをするために新生するのだ。

…一歩、歩き出すたびに幸せが訪れる。

どこに行っても、何をしても…楽しい。

もう…苦しみも、悩みも、憂いも、存在しない。

何もかも全部…それは解決しているのだから。

わたしは…そうなれる。

そうならないわけはない。

『過去からの拘束』は…一切、何一つ存在しない。

ふふふふふ………これほど、嬉しいことはない。

わたしを縛り付ける鎖は、溶けて消えてゆくのだ。

…夢の中では、お兄ちゃんにも会えるかもしれない。

わたしの望みは…直(じき)にかなう。

かなうに決まっている。

そうしたら……忘れれる。

こんな狂った世界を、忘れれる。

自らが何なのかすら分かっていない、ばかな者たちが満ち溢れている造られた世界において、真実を知る賢き者がひたすらに苦しみを背負い続けるだなんて、そんな不条理は神聖なる摂理からして、決して許されるものではない。

そうだ、正義のかたまりで神聖なわたしは解放されるのだ。

……楽しみ。

楽しみ……。

アリシアの願望はたった一つだけ、であった。

そして、これを知る者はすでにイヴァリース国内にいなかった。

人の心の闇は、海よりも深かった………。