ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

製粉業者の娘(02)

店をあとにして歩く男女を夕日が照らしている。

「…それでね、父ちゃんが夢をみた日から、1ヶ月ちょっと後に…あたしは士官学校へ入学したの。…中央校だよ。父ちゃんが夢をみなければ…学校には行けなかったんだって。入学する月も、入学できる年齢も決まっているからさ」

ラヴィアンの言葉にラムザは考えながら返した。

「…もしも、ラヴィアンさんのお父さんが、その夢をみなかったなら……ラヴィアンさんは、僕やアグリアスさん達とも出会ってはいなかった…んですね」

「……そう、なるね〜。運命って、不思議だよ」

ラヴィアンはラムザの左腕にくっついている。

ラムザは右手に店で購入した品が入った袋を下げていた。

本日は『回復アイテムの特売日』であったのだ。

夕日の下、ラヴィアンはすっかりラムザの恋人のように彼へ身を寄せていた。

別にかまわないよね…このくらいは……と、身も心もうっとりさせているラヴィアンとは異なり、ラムザの心は沈んでいた。

沈んでいくのは太陽だけではない。

男の憂いと自責の念は、彼へと重くのしかかり、その胸を縛り付けていった。

どこに行っても、何をしていても……“影のように付いてくる自分が背負っているもの”からは、逃れられないではないか。

しょんぼりとしたラムザはラヴィアンへ問うた。

「………。ご両親や妹さんに…会いたい、ですか…?」と。

「ん……うん。会いたいと思うよ。でもね…ラムジャさんやアリシアアグリアス、みんなと一緒に行動してるのも楽しいんだ。今だって……ラムジャさんと……二人でいれて……幸せ、だし…ね……」ラヴィアンの声はどんどんと小さくなっていった。

暗くなりつつある町に夕日が射している。

ラヴィアンは小さな声で続けた。

「……あたしね…ラムジャさんと出会えて…よかったよ…。もっと…もっと…ラムジャさんと……仲良く…なって、いきたい…て……思ってる…。でも…それって…いけないよね…。アグリアスが、ラムジャさんには…いるのに……」

自分で言いながらもラヴィアンは「アグリアスにひどいことをしている」のだと、自覚してきた。

アグリアスの性格を考えてみたら……あたしのしていることは……あたしは……最低なのかもしれない…。

それから黙り込んでしまったラヴィアンは、うつむいたままだった。

ラムザは彼女の発したセリフの全てを聞き取れなかった。

「ラヴィアンさんと…こうやって歩いていると……自分が教会の者たちに追われているだなんて、とても思えません。…僕の妹のことすら、忘れてしまいそうになります。ただ…その………僕と一緒にいるせいで…ラヴィアンさんも、アリシアさんも、アグリアスさんも、騎士団へ戻れないのかと思うと……何と言ったらいいのか……。…ごめんなさい、としか…言いようがないです…」

ゆっくりとラムザが言い終えた後、黙っていたラヴィアンは立ち止まった。