ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

水の色(04)

「………ありがとうございます…ですね、ラムザさん…。わたし…くらくらして…息が苦しくなった…というか、肩が重くなって…頭も重くて、つらくなってきて…それで、倒れた…みたいです……。………貧血かな。かなり、久しぶりになったな……」ラムザにはアリシアが独り言をしゃべっているように聞こえた。

彼が黙っていると、アリシアは続けた。

「……まれになるんです…。医者の話では…若い女は月経の関係上、貧血が多い、とのことです。……ごめんなさい、ラムザさん。心配かけて…。終わったからもう、入ってもいいかな…と思って、今日…。そうしたら…めまいがしてきて…。疲れたのもあるのでしょうけど……倒れてしまったのですね…」

ラムザは「……ごめんなさい」と返した。

彼女へ劣情を抱いていた自分は何という人間なのであろう。

……恥、そのものじゃないか。

「…???なにを、です?……あれ、わたし…裸…で……。………あっ、こ、これは…ぇ…それなら…ぁ……」アリシアは自らの全身を触り、じわじわと赤面していった。

「……あッ、あッ、いえ…よよよよ、よくは見て、いませんん、なにも、ししし、してませんので…ゆゆ許して…くださいいいい…。ご、ごめんなさいいいぃ…アリシアさんんん……」彼女が赤面するのはとても珍しいことなのであるが、ラムザはぶるぶると震え上がり、それに気付かなかった。

だが、気まずい沈黙を破ったのは、アリシアの方であった。

「………。いいです。ラムザになら…どこ、見られても……。わたし…ラムザさんのこと…大切ですし…。慕っていますから…。どう…でした……ラムザさん…わたしの…身体…」アリシアは布で口を隠してぼそぼそしゃべった。

「…キ、キレイでした。キレイで、キレイで…だ、抱きしめたく…なってしまいました……」ラムザは正直に白状した。

「…………ぅれしぃ…。……今、わかりました。どうして…わたし…ラムザさんと一緒にいたいな、と思うのかを。………ラムザさん、わたしのお兄ちゃんと雰囲気が似ているんです。顔はラムザさんの方がかっこいいでしょうが、雰囲気が似ています。わたしの…亡くなった、お兄ちゃんに………」ラムザの表情を見てから、アリシアはさらに言った。

「お兄ちゃんは…いつも、いつも、どんな時も…わたしを助けてくれました。わたし、子供の頃は…『お兄ちゃんと結婚したい』と、本気で考えていたぐらいです…。ラムザさんと同じで…お兄ちゃんは優しいひと、でした。………。ラムザさんも…女のひとに優しいから…ふふふふふ。アグリアス…幸せ者、だね。……。アグリアスが邪魔だ、なんて言ったら…ラムザさん、わたしを嫌いますか?時折…『アグリアスがいなければ、わたしは別の生き方ができた』かもしれない、と思うことがあるの。最低だよね、わたし……」アリシアは目を伏せた。

「…そそそ、そんなこと、ありませんよ…アリシアさん。僕は…そんなふうに思いません。アリシアさんが最低なら…僕は、もっともっともっと最低です……。…裸のアリシアさんを見て…ここここ、興奮しちゃいました。具合が悪い、アリシアさんに…いい、いやらしい気持ちを抱きました…。それだけでも…僕は、もう十分に…最低です……」アリシアの言葉にラムザは率直に返した。

泣きそうな顔の男の手に冷たい女の手が重なった。

驚いて顔を上げたラムザに、アリシアは述べた。