ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

戦士の務め(02)

「か…間一髪、だったね…ふぅ…」ラヴィアンはラムザの顔を見て、身体を起こした。

「背中…斬られたんじゃ…」ラムザはラヴィアンの手をとった。

「あー、うん。あたし、ローブの下に『ブリガンダイン』着てたの。だから…ほら……」ラヴィアンは裂けたローブを脱いだ。

彼女の背後にまわったラムザは薄花色(うすはないろ)の防具にできている傷を触った。

「……腕とか、首の方は…無事ですか?」心配そうなラムザの声にラヴィアンは明るい声で返した。

「えへへ。痛いところは、無いよ」両者の会話を聞いていたアリシアは、一対の忍者刀を鞘へおさめた。

それからアリシアは黒魔法で倒された賊の様子を見に行った。

モンスターたちを片付けたアグリアスがこちらへ歩いてきて、言った。

「こっちはどうか?」

「あたしは大丈夫。ラムジャさんも大丈夫です」ラヴィアンが答えた。

アリシアは戻ってきて、自動弓を拾いあげた。

「…三人の賊は全員、始末しました。『ボコ』は…蘇生が間に合いませんでした。残念です…」

「『ボコ』……。いいチョコボであったのだが……」アリシアの報告にアグリアスは目を伏せて、剣を鞘へおさめた。

……どこがどう、いいチョコボなのか?

ポンポンと卵ばかり産んで、こっちは迷惑していたのだけど。

邪魔なものがまたひとつなくなってよかったよ。

アリシアは回転するクリスタルを見て、心の中でつぶやいた。

3名の女たちの話を聞いていたラムザは「女の人って…すごいよな…」と感嘆(かんたん)しつつも、謝った。

「…ごめんなさい、ラヴィアンさん。僕をかばって…危険な目にあわせてしまって…。ごめんなさいです。僕、みんなに助けられてばかりで……」年下の男が発言するや、年上の女たちは彼へ向き直った。

「気遣いは無用であるぞ、ラムじゃよ。我らは騎士である。必要とあらば、主殿(あるじどの)のため、この身を投げ出す覚悟は出来ておる。こいつのような粗こつ者であっても、その点はわきまえとるのだ」アグリアスの言葉にラヴィアンは不満そうに言い返した。

「そこつもの…って、余計だってー!」

「何か、違ったのか?」アグリアスはふくれっ面のラヴィアンへ述べた。

「ラヴィアン……髪…切られてるね」アリシアはラヴィアンの後ろの髪をなでた。

「あッ!!あ、ああッ!!!いや〜だ〜〜ッ!!!こっそりと…伸ばしてたのにぃぃぃーーッ!!」ラヴィアンは頭をさわって、大声を上げた。

「髪など…また伸びてくるであろう」アグリアスは冷ややかに言い放った。

「やーーー、そーいう問題じゃなくてーーーッ!!」泣きそうな顔のラヴィアンにラムザは頭を下げた。

「ほ、ほ、ほんとうに…ごめんなさい。僕が転んだせいで…」びくびくと怯える男へ美しい顔に返り血を浴びている女は笑った。

「…ラムザさんは気にしないでいいよ。…短い方が似合っているけれど」

アリシアの言葉をうけたラヴィアンは「え!?……そう…かな?」とぼそぼそ言ってから、ラムザへ問いかけた。

「ね…ねぇ…ラムジャさん…。あたしの髪…短い方がいい?…どう思う?」と。

可愛らしい声を出したラヴィアンにラムザはどきりとして、「…は、はい。いいと…思います。僕は!」と返した。

「……な、なら…いいや。ラムジャさんもケガしてないし…アグリアスアリシアも元気そうだし…」ラヴィアンはどうしてか赤くなっている。

「町に帰ったら、理容師さんに髪を整えてもらおうよ」アリシアはラヴィアンの髪を見た。

「…ぅん。そーする…」ラヴィアンがうなずいた。

「なぁ…ラムじゃ…。ラムじゃは……短髪の女性(にょしょう)が…好みなの?」アグリアスラムザの顔をじっと見ている。

「い、いいえ…その…アグリアスさんは…そのままで…最高、です…」どぎまぎした男は言ってしまった。

「ラ…ラ…ラムじゃ…そんなふうに…言うて…」アグリアスはもじもじしている。

「「…………」」ラヴィアンとアリシアは黙って互いの顔を見あった。

「いかんぞよ〜、ラムじゃ…。ここは戦場(いくさば)なのじゃから〜。も〜う、ラムじゃったら〜」そう言いながらもアグリアスラムザの手を握った。

「ご…ごめん、です……」照れているラムザはそれ以上の言葉が出なかった。