ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

ひかる結晶(06)

アリシアは答えた。

「ええ。…アグリアスは…本来、おっとりとした性質なんだよ。しかし、ご両親からの教育や期待に応えようとして…彼女はひたすらに剣術の特訓を積んできた。自分が女であることすら、否定して…武士(もののふ)、武人、戦士として、幼い頃から時間を過ごしてきた。つまり、自分を偽って生きてきたの。…見たでしょう、ラヴィアンも。アグリアスの生家へ行った際に、彼女の自室を。……なんと形容するといいのやら、“女の子っぽい”部屋で…。ベッドも机も家具も……。けれど…ドア一枚でつながっている隣室には、武器や防具がぎっしりと格納されていて。…どちらが『真のアグリアスの姿』なのかは…あえて、言うまでもない。……そして、この彼女の資質はラムザさんのそれとも共通点を見出せる。ラムザさん自身…アグリアスと同様に、“生来の自分”を…思う存分に表面には出せず、日々を生きてきた。これに関しては…これまでのラムザさんの言動を証しとしてよいでしょう。『動かしがたい証明』をわたしらはアグリアスと共に目撃してきたのだから。…ラムザさんが基本的には、のほほんとした性格だという点は…おっとりとしたアグリアスと符合(ふごう)する。要は互いの有する資性が合致するのね。したがって…性別の差異はあったにしても、ラムザさんとアグリアスは“鏡に映った己の姿”を愛しく感じ、結ばれたということ。二人は…ねじれていた自己を修整しつつ、自分で自分を好きになれたのよ。これは…二人の様子の変化から、うかがえる。アグリアスに焦点を絞ると……定期的にというか、月経の周期によって彼女は神経が高ぶっていた。騎士団、いや…士官学校に在籍していた頃から、そうだった。彼女は月経となるや、武器防具を必要以上に磨いていた。まるで“自分の汚れ”を取り除くみたいに。…鉄や銅の武具はともかく…ミスリル製のそれらを研磨するのって…『素人の考え』なのよね。…ミスリル合金の装備品は専門の職人でなければ修復できない。このことは士官学校へ入学すると、すぐに習う。純度にもよるけれど…専用の研磨剤を用いなければミスリル合金はその特性上、研磨できないものなのだから。…彼女は邪霊にでもとり憑かれているとしかいえない目付きをして、武器防具に向かっていた。……気を紛らわせたかったのでしょう。“女”としての自分が…つらくて、つらくて。ここで重要なのは、ラムザさんと出会ってから…アグリアスはそういう行為を一切とらなくなった、という点だよ。アグリアス自身、認識しているかどうかには関わらず…」