ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

ひかる結晶(02)

いつもと変わらず冷たい目をした友人をラヴィアンは見ていた。

……知りたい、と思いつつも…彼女の心の奥底をさぐることは…いつまでたってもできない。

アグリアスも酔った時に言っていたな。

『…深き森林を思い浮かべてみて、ラヴィアン。私やあなたが、その森へ入ってゆくとするじゃろ。森の中にある“アリシアの家”を目指し、私たちは草木をかきわけて進むのじゃ。すると…しばらく歩いていた私たちの前へと、アリシア本人がひょっこりと顔を出す。「…どうしたの、二人とも?」と不思議そうな顔をするアリシアに対し、私とあなたはこう言う。「おまえの本当の姿を知りたいのだ、もっともっと親しくなりたいのだ」と。…アリシアは笑って、こう返すでしょう。「…なんだ、そんなことか。ありがとう…二人とも。それなら、こっちへおいでよ。わたしの家まで案内してあげる」と。…私たちはアリシアに連れられて、家へ行く。たどり着いた建物を…私とあなたは、“アリシアの家”だと思い込むの。その中で様々な“情報”をアリシアから教わり…私たちは満足して、森林から出てくる。そして…真の“アリシアの家”には入ることができず……私たちはさがしていたものがそもそも何であったのか、を忘れ果ててしまう。そう…思わないかしら、ラヴィアン……』

「…念のために銃を携帯したのは、適切な判断だったね」アリシアが正面を向いたため、ラヴィアンは目をそらした。

「…たくさんの人で町全体がにぎわっているよ。…危ない人たちも多い、と思う。オルランドゥ様と別れてからここへ寄ってみたら…お祭りの初日だったのには、驚いたけれど」アリシアは長くなってきた前髪を自らの耳へかけた。

しっかりと気品を隠す友人にラヴィアンは再び、ため息をついた。

あたし…何やっているのだろう。

…衝動買いしたドレス着て、化粧して、髪まで店の人にセットしてもらって…。

アグリアスがいないから、羽を伸ばそうと意気込んだはいいものの。

……悔しいじゃない。

アグリアスはラムジャさんとべたべたしていて…。

この…お祭りの間に…あたしもステキなひとと出会えたら……なんて…幸せなのかしら。

はあ……。

今日でお祭りはおしまいだし、3日前から声をかけられるのはアリシアばかりで……。

…………。

あたし、何もかも、失敗してる…。

……。

アリシアがいてくれなかったとしたら、あたしは…多分、ラッドさんが亡くなって…ムスタディオさんも…死んじゃった時点で…王都に帰っているだろうな。

父ちゃんと母ちゃんの手伝いしてたかも、しれない。

ステと一緒になって粉ひいてたりとか……。

少なくとも…アグリアスとラムジャさんの婚礼式には同席していなかっただろうな。

それどころか…アグリアスと、どーでもいいことでケンカして…アグリアスに叩き斬られていたかもしんない。

アグリアス……ラムジャさんと出会う前は…マジメすぎたし。

恋って…人を変えるものなのか…な…。

分からないのが…何よりもつらい、よ……。