ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

主人公と年上の女(02)

あれは…そう…たしか……フォボハム平原でのことだった。

…さまざまな場所で戦っているので、どこであったことなのか、よく忘れてしまう。

遭遇したモンスターの集団と戦闘を行なっていたラムザ達は平原が途切れ、切岸(きりぎし)の下はすぐに海が広がっている地点まで戦いながら進んできていた。

海側へとこちらを追い込むようにモンスターたちは攻めてくる。

多分、人間を海に落としてしまおうとたくらんでのことなのだろう。

強風を全身で受けつつも、ラムザと一人の女は巨大な目玉をもつモンスターを倒した。

その時、珍しい体色をした牛鬼系モンスターが突進してきた。

崖の上で転倒した女めがけて、牛鬼系モンスターは両手で握った鈍器を振り下ろそうとした。

ラムザは叫びながら、モンスターに直接ぶつかっていった。

ウッホ!!オッ、オオ、オオオオーン……。

鳴き声を上げた牛鬼系モンスターは、懸崖(けんがい)の下まで転がり落ちた。

そして土の崩れる音と風の音、ドッシャッ!!という肉のはじける音が下方から響いてきた。

高所から転落したモンスターの血しぶきを波が洗ってゆく。

ラムザが恐る恐るそれを見下ろしていると、地面にしがみついている彼へ女の声が聞こえた。

「ありがとうございます…ラムザさん…」色白の女はラムザを立たせてくれた。

「い、いいえ。僕も…とっさに…どうすればいいのか、分からなくて…『体当たり』して、しまいました…」正直に言う男に女は小さく笑った。

ラムザさんがそうしてくれなければ…わたしは、セクレトによって…頭をつぶされていたよ。…『密猟』はできなかったけど、わたしは無事だった。…!!!」女は話を切り上げて、片手に持っていた魔法銃を発射した。

パツン、カッシャーン!!

…氷の弾丸は急降下してきた、のどがふくらんでいる鳥型モンスターを直撃した。

羽毛をまき散らせながら、スチールホークは海中へ落ちた。

バッシャッ!!と、白い水しぶきがモンスターを隠す。

「……。あ、ありがとう、アリシアさん」ラムザが言うや、名前を呼ばれた女は微笑んだ。

「お互いさま、なんて言わないよ。わたしが先に救ってもらったもの…」女と男はしばらく見つめあった。

ラムザは冷静だがとても頼りにしている1歳年上の女を愛しく感じていた。

一方、アリシアはしっかりと年下の男の瞳を見つめ、そっと彼の手に触れた。

「………アリシアさん、僕…」ラムザが言い終えるよりも先にアリシアは大きくうなずいた。

「うん。わかるよ…ラムザさんの気持ち。私も、そうだから……。あとで…町に戻ってから……」いつもとは異なり、アリシアの声がしっとりしているのにラムザは気付かなかった。

「…おおーい、ラムじゃ…アリシアーーッ!!そっちは、どうじゃーー!?」別の女の声に男女は振り返った。

鎧姿の女が手を上げて走ってくる。

アグリアスさん……あんなに離れてたのか…」ラムザが言った。

「……『どうじゃ』って……私たちの邪魔をするんじゃないよォ…」一定しない不安定なアリシアの声にラムザは笑ってしまった。

アリシアもクスクス笑い、普段通りの顔をつくって、手をふった。

……ここまで、過去のことを思い出していたラムザの背中に何かがくっついてきた。

「ん…あ……」後ろを見ようと身体をひねる男へ相手は軽快に歌った。