ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

主人公と年上の女(01)

ラムザはベッドに座って、書類を見ていた。

この紙は『戦士斡旋所』から持ってきたものである。

先日のこと、短期間ラムザ達と行動した2名の者を除名したのだった。

雇傭(こよう)した者が組織を去ったのならば、この件を斡旋所側へ通知するため、所定の用紙に必要事項を記載して、これを提出しなければならない。

『戦士斡旋所』は国立機関であり、士官学校を卒業するなどして「戦闘員」たる能力を有している者は無料にて、ここに自らの名前や出身地に加え、特技などを登録しておける。

そして、斡旋所へ登録した者がそれを解除したい場合は、登録者自身が「登録抹消手続き」を行う決まりとなっている。

登録した者がどのような組織へと所属したのか、また入った組織からいつ脱退したのかを『戦士斡旋所』はおおよそ把握しており、登録者が戦場や任務中に死亡した際も、その者が所属していた組織の構成員は「斡旋所まで届け出るように」と、規則で定められている。

だからこそ、イヴァリース各地に存在する『戦士斡旋所』という施設は保有する『全ての情報』を共有できているのである。

また、斡旋所はそれぞれの士官学校とも連係(れんけい)していた。

具体的には、士官学校卒業時にそれを希望する者は、自動的に斡旋所へと登録ができる仕組みとなっている。

このようなことを成し遂げられるのは畏国の成り立ち及び歴史・社会構造からして、民間企業では不可能であろう。

グレバドス教会ならば可能であったかもしれないが、教会は戦士を管理するよりも信者を増やしていく方がその性質に適合している。

斡旋所は北天・南天・ランベリー・ライオネルの四大騎士団、さらにはグレバドス教会の“圧力団体”といわれている神殿騎士団とも、公式かつ正式に手を結んでいた。

国立機関ゆえの融通がきかない点、例えば…こちらへ応対する職員が無愛想であったり、『定休日』が厳格に規定されていたり、といった部分は玉に瑕(きず)だったものの、『戦士斡旋所』を制定した国王デナムンダII世は偉大である。

さらにこの機関を「王立」から「国立」へと変更した国王デナムンダIII世も評価されるべきだろう。

おそらく、デナムンダIII世はイヴァリース国が統一されてから「王家と国家の間をある程度分けておこう」と考えた最初の人物であり、同王は周囲の者が到底理解できないほどの先進的な思想をもった君主であった。

同王の思想の正否は後の歴史が証明している。

もっとも、デナムンダIII世はこれ以外の目立った活躍をせずに在位2ヶ月で急死してしまった。

さて、ラムザは組んだ脚の上に木の板を一枚載せて、その上に置いた用紙へ名前を書いた。

ラムザ・ベオルブ」と書いてしまうと、いろいろと危険なので偽名にしてある。

斡旋所へも偽名で組織を登録した。

教会より、“異端者”と認定されてしまった者は生きにくいのである。

それが、イヴァリースという国だ。

…どうしてか、ラムザは机に向かいイスへ腰かけての筆記作業を長時間できない。

作業を開始するや、何度も時計を確認してしまう。

まったく仕事ははかどらない。

だからペンも書類も放り出して、ラムザは自分がやらなければならないことを他人へ任せてきた。

そんな彼にある日、ひらめきが起こった。

「わかった…。机もイスも使わなければ、よかったんだ!!」

……なぜ、こんな簡単なことが今まで分からなかったのだろう。

僕は……ばかなんじゃないのか?

用紙へ染み込んだインクにフー、フー、と息を吹きかけていたラムザは以前にあった出来事を思い返した。