ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

深き闇を掘って(01)

「ロックさんも、レイチェルさんも、ごくろうさまでした。道具はこちらで用意しましたが…暗闇に包まれたダンジョン内での発掘作業でしたので…」女が述べると、向かい側に腰かけている男女はにこやかに返した。

「いえいえ…手元は暗かったですが、モンスターと戦うわけじゃないから、その分は気が楽でしたよ」男に続き、隣の女も発言した。

「ウォージリスで紙を見た時は…少し、疑ってしまいました。備考欄に書かれていた…『巨蟹宮と相性の良い方は特に求む』…っていうのも気になりましたし、『働く場所が限定されている』というのも……いったい何をするのかなって…。この人といろんな想像をしていました。ひょっとしたら、ヘンな仕事なのかな…とか。でも、アリシアさんやラヴィアンさん、ラムザさん…いい人ばかりで、とても楽しく作業できました」

アリシアさん、と呼ばれた女は冷笑を浮かべた。

「それはなによりです。さて…お二人の働きによって、わたし達は欲しかったアイテムを全て入手できました。従いまして…本日、ロックさんとレイチェルさんとの雇傭契約(こようけいやく)は終了となります。『戦士斡旋所』の方には、わたし達が手続きをしておきます。お二人はわざわざ、あの古い建物まで足を運ばずともいいですよ。つきましては…こちらをそれぞれ、お受け取りください。“迷惑料”も含んでの…金額となっております」

アリシアが手渡してきた厚い布で作られている袋はずしりと重かった。

金貨と金貨が袋の中でぶつかる金属音が響く。

「……え、いいんですか!?」「お、重い…これ…いくら…なの?」男女へアリシアは答えた。

「一つの袋が、16万ギルです。お二人とも、同額です。………。アグリアスの件は、大変申しわけありませんでしたね。わたしの方から彼女にはよく言っておきます。本当にごめんなさい、ロックさん、レイチェルさん。…お二人にひどい言葉を浴びせかけていたのは、わたしも現場で聞いていました。モンスター排除とお二人の護衛のために、アグリアスには戦闘へ参加してもらっていたのです。が…あれほど、あなたがたを『おどす』とは。わたし自身、驚いてしまいました。普段はあのようなことを言う人ではないのですが…。いったい、どうしてしまったのか……まことにすみませんでした……」頭を下げるアリシアに男女は言葉を失った。

「………余計なおせっかいになりますけど、アグリアスさんのことは何とかするべきだと思いますよ。強い剣技が使えるからって…」「お、おい…レイチェル…」女がぼそぼそ話し出したため、隣に座っていた男は振り向いた。

「いいのです、ロックさん。レイチェルさんのご意見はまったくその通りに思います。続けてください、レイチェルさん」アリシアはすまなそうに述べた。

レイチェルは言った。

「…アリシアさんは礼儀正しいし…ラヴィアンさんが差し入れてくれるお料理はおいしいし…リーダーのラムザさんも、優しかったです。でも、でも………。アグリアスさん、あの人はキライです!…何なんですか!?あれが、騎士でしょうか!?アタシとこの人を、これでもか、これでもか…と、追い詰めて、脅かして、怖がらせてッ。…言葉による暴力、ですよ!!弱い者いじめをする騎士なんて、最低ですッ!!アタシたちはもう、アリシアさんとは関係なくなっちゃいますけど…即刻、除名するべきです!あの人はッ!!ラムザさんに伝えておいてくださいッ!!あそこまでしなくちゃならない理由があるんですか!?…頭がおかしいんじゃないですか?あの人ってば!!」顔を真っ赤にして、ため込んでいた不平不満をぶちまけた女の肩を男は抱いた。

「…わかる、わかる、わかる。おれもずっと…そう、思ってた…思ってたよ……」泣きそうな顔で鼻息を荒くしている女の背中をさすりつつ、男は話し始めた。