ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 ここは『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があるサイトです。

風と炎と水と(02)

「…………『利発』か…。さすがは、アグリアス…。…いい…語句を知っているねェ…。…わたしが…自分の受け取るべきギルを分け与えているからこそ、ラヴィアンの浪費がこの程度で済んでいる、とは考えられないのかしらァ?わたしがギルを与えなくなったとしたら、ラヴィアンは金策のために町の高利貸し屋へ走っていくかもしれない。…大抵の高利貸し屋は水面下で水稼業(みずかぎょう)を取り仕切っている者とつながっている。…貸し付けたギルを返せないと判断された場合、ラヴィアンは酷薄(こくはく)な男たちに連行されていって…それから、どうなることかァ。わたしが…会計役を引き受けているおかげで……ラヴィアンをはじめとして、アナタやオルランドゥ様も…救われている部分は間違いなくあるでしょう。もしも、アナタが言うようにィ、わたしが狂っていて…愚か者であったとしたらァ……ギルが回らなくなったり、アイテムが足りなくなったりするどころか、この集い自体がすでに瓦解(がかい)しているよォ。…アナタが大好きなラムザさんと結婚することすら、不可能だったろうねェ。色々な物事を丸くおさめようと、いつも知恵を絞っているのが誰なのか分かっているのォ?よく、言えたものだよねェ…わたしに対してェ……」

夜の海でキラキラと光る、と伝えられている大海蛇のそれとよく似た瞳をしたアリシアが口を閉じると、すさまじい恐怖感にすべてが包まれた。

そっぽを向いているアリシアアグリアス、と呼ばれた女は反論を試みたものの、小舟が伝説の海の怪物と対峙したようになってしまい、心寒くて口から音を出せなかった。

顔全体が氷に覆われたみたいに冷えてこわばり、動かないのだ。

……手足も冷水に浸かっているかのごとく、冷えている。

真一文字に口を結び黙り込むアリシアと、全身が石化してしまったアグリアスへもう一人の女が声をかけてきた。

「ね…ね、ねぇねぇねぇ…ケンカしないで…さ…二人とも…さ……」

おどおどしながらも二人へ話しかけるもう一人の女の方を向いたアリシアアグリアスは、それぞれが異なる動きを見せた。

アリシアはすぐに反対側へと顔を向け、石化状態が解消されたアグリアスは怒号を発した。