ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

香る心(10)

東国文化の影響が顕著に現れている建物の定食屋から出たアリシアは、その敷地内を無言で歩き、ラヴィアンとアグリアスは彼女を追いかけた。

ザッザッと砂利の上を早足で進むアリシアの背後でラヴィアンは隣にいるアグリアスへ話しかけた。

「…ど、ど…どうしよ〜?怒ってる…よね…?」と。

「……う、うむ。当然じゃろう。私たちは公の場で醜態をさらしたのだから……」

アグリアスはぶつぶつと言った。

店から程近い国定公園の前へさしかかると、アリシアは足を止めて二人に振り返った。

「……どう?まだ、争いたい?やりたいのなら、ここの公園の中にある広場でやりなさい」

冷たすぎる声に二人の女は、首を横にふった。

「……ふふふふ。そんなに怖がらないで。…ラムザさんがいなくてよかったね。ラムザさんにだけは、心配かけないようにしないと……」

笑顔をつくるアリシアは、持っていたCのバッグとPのバッグをそれぞれの所有者へと返却した。

「……ぅむ」「そ、そーだよ…ね…」ばつが悪すぎる二人はうつむいて、それほど使いやすくもない高価なバッグを握りしめた。

「…食事できる店が一つ減ってしまったのは、残念だけれど。また…別のお店をさがそう。今日のことは…ラムザさんへは言わないよ。ふふふ…二人とも、元々は仲良しなんだから……あんなつまらないこと、やめなさい」言い終えたアリシアは小さく笑った。

「そ…そぅじゃ…その通りじゃ…。アリシア…ごめん、ごめんなさい…。私……そなたへ尻拭いさせてばかり…。ごめんね、ごめんね…アリシアよ……ラヴィアンも…すまないのんじゃ…」「あたしも…。アリシアアグリアス、ごめん……あたし…ばかで…ばかで…ごめん。……あんがと、アリシアアグリアス…」アグリアスとラヴィアンはそれぞれに言いながらもアリシアへ抱きついてきた。

「……?あれ?」アリシアが可愛らしい声を出した。

「すきじゃ…すき、じゃぁ…アリシアよ……」「…あたしら…アリシアがいなかったら……どうなってるんだろ……」アグリアスとラヴィアンは涙声で言った。

女二人の香りに包まれた一人の女は「………。どうなっているのかな」とつぶやき、どんよりと曇った空を見上げた。

雨が降りそうで降らない日だった。