ふるいものがたり

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香る心(08)

「……。『ゆめ』…?『ゆめ』、と言うたか?」

アグリアスはボソリとつぶやき、顔を上げた。

「…その『ゆめ』とやらをここで言うてみよ!!…お前の『ゆめ』とやらは…不特定多数の相手へ股を開くことなのかッ!?いつから、お前は売女(ばいた)にジョブチェンジしたのだ!!…騎士としてどころか、人としての尊厳すら忘失しおって!!この…香水を使う、というのは…そういうことであろうに!!!…違うか!?この、淫女(いんじょ)がッ!!」コンッと、アグリアスは小ビンをテーブルへ置いた。

「ち、ちがう〜〜〜!!違うってばぁぁッ!!ウッウゥ…ッ…ゥゥ…ひっどーいぃ…どーして、どーして、そんなふうにぃ言うのさッ!だ、だいたい…ッ…あたしが、『あたしのギル』をどう使おうとッ…勝手ぇ…でしょ〜!!…おせっかいの、分からず屋〜〜ッ!!!」ラヴィアンは泣きわめいた。

「『あたしのギル』だと!?お前が…そう考えているだけ、ではないのか!?…どこにある!?お前の名が刻印されたギル金貨は!!…『これは自分の物、それはあなたの物』と一方的に思い込んでおったなら…お前は満足なのだろうに。お前は、それだけで一生が終わるのだ。なんと…さもしい性根(しょうね)の持ち主であろうことか…」腕で涙をしっかりとぬぐい取ったアグリアスが言い放った。

「い、いいでしょ〜!!いいじゃないのぉ〜〜!!‘人って、思い込みだけで出来上がっている’んだからさ!!…そーでしょ!?あたし…何か間違ったこと言ってるの!?ねぇッ、ねぇってばッ!?」ラヴィアンは泣き叫んでから、二人の女を交互ににらんだ。

「……正邪の判断もまともにつけられん、お前が言うべきことではないわ。この、汚らわしき、狂人が…」アグリアスはむすっとしたまま、そっぽを向いた。

アリシアは黙り、自分の前にある料理を食べていた。

幼少期の経験からか、アリシアは争乱の渦中で食べたり、眠ったりすることに慣れきっていた。

彼女の感覚はマヒしてしまっていた、といってもいい。

…家具の一部や食器の破片や丸められた衣服が頭上を飛び交わないだけでも、はるかに増しな状況ではないか。

味わうというよりも口だけを動かしていたアリシアは、そっぽを向いたままのアグリアスと「…ど〜して、しゃべらないのッ!!ふ、二人してぇ…ゥウ…ッ…ウウ、アッ…ああ…ッ…ぅぅうう〜〜〜」と叫んだ後に、再び泣き出すラヴィアンを見た。