ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

握られた手と手

ラムザ「…そうだったんですか。そんなことを……。ムスタディオが…」

アグリアス「うむ。…その場で主殿(あるじどの)の名は出さなかったぞよ。ラムじゃは私へ気を遣ってくれとったし…」

ラムザ「……。告白をされたのは……ゴルランドで…ムスタディオが…あなたに口紅を贈ってからのことですよね?……。あの時……実は…ムスタディオが突然に『頼む!!50000ギル貸してくれッ!!』と、言ってきたんです…。僕はひどく驚いて、『どうしたんだよ?いきなりそんなこと…。借金でも、あるのか!?』って、聞いたんですよ。そしたら…『アグリアスさんの…誕生日に…贈り物を…したいんだ…』とか、ぶつぶつ…ムスタディオは話し始めて……」

アグリアス「………そんな、やり取りがあったとは」

ラムザ「…ええ。ゴルランドを出て、ゴーグの近くまで来た時……ムスタディオが僕に伝えてきました。『…ちょっと、オヤジの所に顔を出してみるよ。…預けていた鉄巨人の様子も気になるし…』と。そして…ゴーグの町中で待っていた僕の前にムスタディオは戻ってきて、こう言いました。『やっぱ、まだ故障したまんまだった。…オヤジの話を聞く限りじゃ、これ以上の修理は進められねえみたいだ。人手が足りねぇってよ。…だから…オレがオヤジと二人で、いろいろやってみる。そういうコトで…オレは抜けるよ。しばらくしたら…また、ここに寄ってみてくれ。…背中に赤い翼を装着して、空も飛べるようになった“労働八号”をお目にかけれるかもしれねーぞ、ラムザ!』と…」

アグリアス「……あかいつばさ……!?」

ラムザ「……。僕は…いつもと違い、妙によそよそしいムスタディオと別れて…ドーターにいたあなた達と合流することにしました。それから……『ゴーグの大爆発』が起こったんです…」

アグリアス「…私たちが再会して…10日ほど、じゃったろうか…」

ラムザ「……多分、そのくらいだと思います。『ディープダンジョン』に潜っていたオルランドゥさんは…『ものすごい音が響いて地下空間がゆれたから、ウォージリスまで急いだら……見たこともない形をした大きな雲が西の空へ上がっていた』…と、話してました」

アグリアス「……」

うなずいたアグリアスの手をラムザが握った。

ラムザ「……。ゴーグがあんなことになった後…ムスタディオ本人も、生死不明となってしまい……。ムスタディオや鉄巨人のことには触れないよう…僕もアリシアさんもラヴィアンさんもしてきました。だから………」

アグリアス「……私のせい…じゃろか…」

ラムザ「!!…い、いえいえ…そんなことありませんよ!」

アグリアス「……」

ラムザ「あ……あなたがムスタディオへ手作りの爆発物を持たせて、『ゴーグに行け』と命じたのではありませんし……そ、そもそも、鉄巨人自体…失われた技術の結晶で、僕たちの手に余る代物だったんです。も、もしかしたら、僕たちと一緒にいる時にだって、なにかのきっかけで鉄巨人が暴走してしまったかもしれないじゃないですか!…それで、最後には大爆発してしまったかもしれない……僕は、はじめて見た時から、鉄巨人を危険なものだと感じていました…」

「……ラムじゃ……。そなたは…ほんに…やさしいの……」アグリアスは涙声で言い、ラムザに抱きついた。

「最初から…鉄巨人に問題があったんです。それによって、起きたことなんです。……親子とも、惜しい人を失ってしまいました。…あの、ムスタディオが贈ってくれた口紅は…?」抱きしめたラムザが言った。

「…そ、そのことなのじゃが…滝に落として…そのまま、流れていってしまったの。…ゼイレキレの滝で、モンスター相手に争った際に……。追いかけたけれど、間に合わなかったんじゃ。……このことは……彼には話さなくて、良かったじゃろ?」アグリアスの湿った声を聞いたラムザはうなずいた。

「………はい。ムスタディオをさらに傷付けることになってしまった、と思います。その件は、それで…よかったんですよ」

「………ぅむ」男と女の手はしっかりと握られた。