ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

本音でアグリアス(10)

器同士をカチャンと合わせる音が部屋に響いた。

チョコボの形をした木製の壁掛け時計がカチリ、カチリ、と時を刻んでいる。

むすっとしているアグリアスが口を開いた。

「………謀られたわ。私を『隊長』と呼んだ時点から、引っかかったもの…」

ラヴィアン「そんなことないよ。あたしらは、全然これっぽっちも…ハメる気なんてなかったからさ〜」

アリシア「だよね」

むすっとしたままのアグリアスが問うた。

「……アリシアが語ったラッドのこと、好きだったというのも…偽りなの?言って良いことと、悪いことがあるじゃろうに」

ラヴィアン「……ううん。それは、本当だよ。…あたし、ラッドさんのこと、想ってたんだ。……とっても良いひとだったから……。…ッ…ゥ…ウゥ…」

涙ぐむラヴィアンにアグリアスが謝った。

「あ…ごめん…。すすす、すまんのじゃ…疑ってもうて……」

目をこするラヴィアンをなでなでするアグリアスを見ていたアリシアが口を開いた。

「……いいひとはみんな、先に死んじゃう。生き残ってるのは、ほとんどがクズ」

アグリアス「…それは、違うのではなくて?」

「長生きは、クズの証だよ」アリシアは笑った。

アグリアス「…な、なんて歪んだ考えの持ち主なのじゃ、あなたは…」

アリシア「わたしも、お兄ちゃんを亡くしているし」

「!?…兄上を!?」アグリアスは寂しそうな瞳のアリシアを見た。

アリシア「…うん。ラヴィアンには話したけど、隊長…アグリアスに言うのは初めてかしら?」

「聞いたことない…あなた、何も教えてくれぬし…」アグリアスはふるふると首をふった。

アリシア「……わたしには、5歳年上のお兄ちゃんがいたんだ。わたしの家…両親の仲が悪くて……『家庭』というものが、崩壊していたのね。……家の中は無茶苦茶だし、子供のことなんかどうでもいいっていう親だった。…自分たちのことだけで精一杯の狂った両親で。…父親と母親からは、よく手を上げられた。………両親から殴られたり、蹴られたりするわたしを…いつも、かばって助けてくれたのが、お兄ちゃんだったの」

「………」信じられない話を聞かされたアグリアスは言葉を失ってしまった。