ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

深意(01)

貿易都市ドーターへ到着した私たちは町の北に広がるスラム街を避け、安価な宿に入った。

今日一日はこの町で過ごし、必需品の購入を行う。

店主から案内された部屋は四人で使うには狭く感じたが、一泊しかしないため…まあ良かろう。

……昼になると、外出していたそれぞれが帰ってきた。

ラヴィアン「…どう?似合う?」

ローラ「あー、いいんじゃない。…ここまで短くしたことって、あった?」

ラヴィアン「いや〜、無いと思う…。子供の頃から…あたし、髪のばしていたし」

アグリアス「あの…ラヴィアン…何ていうか…その、ごめん……」

ラヴィアン「ん?なに、いいんだって、アグリアス隊長。あたしもアリシアと一緒にスパッと切ってもらうとよかったんだ。そうしなかった、あたしが悪かったよ」

ローラ「アリシアは…ジェーンに切ってもらったの?」

アリシア「そうだね。…ジェーンの実家は美容院だと聞いてたから…甘えてみたの。ジェーンのお父さんとお母さんが二人でお店をやっているらしいよ。彼女、『騎士団やめたら、店の手伝いさせられちゃうわ』って…苦笑してた」

手をハサミの形にしたラヴィアンが言った。

「ナイフやハサミ持たせると、ジェーンすごいよね…。手先がほんとに器用でさ…。士官学校の時、返された答案用紙を使って、みんなで切り絵を作ってたの。…ジェーンの作品はもう、完璧だった。教会なんかにあるステンドグラスに近かったもの…」

アグリアスが呆れた声で返した。

「学校で…そんなこと、していたの…」

「うん、してた」ラヴィアンは白い歯を見せた。

暗い顔になったローラが言った。

「…そういう才能がある人って……うらやましいわ…」と。

ラヴィアンはいきなり深刻な顔をつくった。

「………うん」

「………」アグリアスも何か言いたそうである。

「…しんみり、しているのは何故?」アリシアは冷静なままだった。

「…だって……あ、隊長…。あの、新しい…イヤリングを…耳につけても、よろしいでしょうか?派手なものは選びませんので……」

気を取り直したローラが質問してきたので、アグリアスが答えた。

「……いいや、だめだ。アクセサリーの類はやめよ。…過度な装飾はいかん。化粧も同様だ。紅(べに)もさすでない。…私たちは任務のために赴(おもむ)くのであって…決して、楽しむために修道院へ行くわけではないのだからな」

ローラ「…………」

ラヴィアン「…………」

アリシア「…………」

アグリアス「………ご、ごめん…なさい…」

アリシア「謝らなくてもいいと思う。…板に付いてきたのでは、ないでしょうか?」

ラヴィアン「…そうだね。この調子でいこう、隊長」

「……あ、ありがとぅ…」アグリアスは顔を赤くしている。

ラヴィアン「アリシア…髪の毛、切る前はさ…上手に髪をまとめて結んでいたでしょ。あたし…いいなぁ…って、いつも思ってたんだ。あたしの髪だと…アリシアみたいに結べないんだもの。…バッサリ、切ったのには驚いたよ」

アリシア「ああ、うん。…これまで使っていた髪留めの金具部分が壊れてしまったの。古いものだったから…経年劣化だろうね。そうしたら、ちょうど…護衛任務の話を聞かされたから。なら…切ってしまおう、て…」

ローラ「…アリシアの髪は…ピカピカしてて…美しいよね…。アタシなんか…巻き毛で、巻き毛で、くるんくるんになってくるんだよ〜」

ラヴィアン「あたしのは…細くて、毛の量が多いし……。人生って、思った通りにならないことばっかり…」

アリシア「…みんな違っているから、人生には価値があるんだよ。違いの数は、可能性の数なんだよ」

アグリアス「………」

アグリアスを見たアリシアが言った。

「今…話に入りそこねたでしょう?」

アグリアス「ぅ…うん……」

ラヴィアン「…隊長を続けていくのも、大変だなぁ」

四人は笑った。