炭鉱都市ゴルランドを抜け、南下した。
ゼクラス砂漠へ行く道ではなく、アラグアイの森の近くを通る細い道を歩いていると日が暮れてきたため、森の前にある小屋で休むことにした。
この小屋は杣人(そまびと)の物置だったらしいが、今は使われてはいない。
三人の同期生たちが薪(たきぎ)を運んだり、干し草を小屋の中へ敷いたりしている。
私は自分が授けられたものとは色の異なる“聖騎士の証”を見つめていた。
私たちは夜間にモンスターからの襲撃を避けるため、焚き火をすることにしたのである。
夜食を終えてから、私は言った。
「…大事な話があるのだけれど」と。
「あー、やっと話す気になったの〜?さっきからさ…ムスッとしてて…。周りの気持ち、考えなよ〜」ゆらゆらした髪の毛を持つ女騎士が返した。
「ホント、そーだって。…何?どしたの?…便秘?固いの出したから、お尻が痛いとか?」長い髪をゆらす女騎士も返した。
私は言った。
「べ、べべべ…便秘などではない…わよ、ラヴィアン…」
ラヴィアン、と呼ばれた女騎士「なーんだ、便秘じゃないんだ」
「アレの苦しみは、ならないと絶対わからないよ〜。引っ越しした時、アタシもなったもん」先に発言した女騎士が言った。
「そっか……。そうなんだよね…。あたし、便秘になったこと、今まで一度もないや…」と、ラヴィアンは返した。
私は言った。
「ローラも、ラヴィアンも…その話題から離れてちょうだい!!ほんに大事なことなんだから…三人とも、そこに座って……」
私が頼むと、「「わかった、わかった」」と二人は笑った。
もう一人は黙って、座り直した。
焚き火をはさみ、私は三人と向きあった。
パチパチと音がする。