ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

恩師(10)

先生「……‘すべてのものはそのままで最高の価値をもっている’…ものと言っても、手で触れて形のあるものだけじゃなくて、目にみえないもの…例えば人の心もそうなんだよ」

四人の様子を見て、先生は続けた。

「…わたしの持ってきた、この刀。これは、 『夕霧』という名の太刀なの。『四季の太刀』の一振りで、わたしがわたしの剣(けん)の老師様から『皆伝の証じゃ』って、授かったんだけどね」先生は教卓から黒い太刀を手に取った。

「老師様は白い髭(ひげ)をたくわえたおじいちゃんで、これをわたしへくれた時にこう言っていた。『剣は鏡じゃよ。良い剣も、悪い剣も、無い。あるのは使う者の心のみ。その時その時に必要なものを使いこなしてこそ、はじめて真の達人といえるだろう』って」先生は左手で鞘、右手で太刀の柄(つか)の部分を持った。

「みんなが訓練の時、普段使っているロングソードやアイアンソードと、この『夕霧』と、どちらが名剣・名刀だと思う?」先生は『夕霧』を抜いた。

うっすらと露を帯びた刀身がきらりと反射する。

「強敵と一騎打ちするなら『夕霧』でいいでしょう。けれど、剣技の訓練や野外での演習、護衛用・護身用に使うのなら、ロングソード・アイアンソードで十分。つまり、どちらも良い刀剣ってことになるよね。『‘大は小を兼ねる’…と、口だけは達者だが、大も小も使いこなすことができない者は多い』と、わたしの剣技の先生はいつも話していたし」先生は『夕霧』を鞘へ収めた。

それから先生は四人へにっこりした。

「あなた達は、あなた達のままでいいんだよ。足すべきところも引くべきところも無い。そのままで最高に良い。何も変わらなくてもいいからね。…胸を張って、任務へ臨みなさい」

「「「「…はいッ!!」」」」四人の返事はぴったりと揃っていた。