ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

恩師(06)

先生「……。『天吹く風』。

空を吹き抜ける風は全てのものへ影響を与えています。

炎も大地も水も、その影響下にあります。

逆をいえば、風を制するものは全てを制することができましょう。

周囲の全てへ影響を及ぼすものは自らを律(りっ)しなければなりません。

自らを殺すのではなく、自らを抑え、自らを知るのです。

これは自らの行いがどのような結果を招くのかを先読みし、全てを受け入れる覚悟を持つ、ということです。

蒼天(そうてん)にある雲を動かす風は強く、小さな花をゆらす風は弱い。

しかし、この違いはどこから来るのでしょうか。

暴風ばかりが吹き荒れると、我々は存在することができません。

ただ、無風が続くならば風車は回らず、帆船も進みません。

果てしない空を優雅に渡る鳥に学んでください。

また、野山を飛ぶ蝶からも答えを得れることでしょう。

あなたならば、自らが起こす風を上手に調節できるはず。

…わたしは、それができませんでした。

いつも、いつも、自らが作り出した“逆風”で立ち往生していたものです。

その点、あなたは大丈夫。

わたしの何倍も自分というものを分かっているから。

どんなときも、良い風を吹かせてください。

あなたが一緒だと、追い風へ恵まれたみたいにみんな、いきいきと進んでゆけるのですから」

「…!!!!」座っている三人は先生の劇変に驚愕(きょうがく)した。

先生「…隊長への就任、本当におめでとう。修めた『聖剣技』で、王女様をお護りするのですよ」

「師、師よ…わ私は…何も、あ、ああなた様の…ご教授、ゆえにぃ…ッ…」アグリアスは目に涙を浮かべ、言葉に詰まってしまった。

先生「いいえ、あなたの努力が実ったからです。わたしはあくまでも、“きっかけ”を与えただけ。…そんな顔しないの。…さぁ、お座りなさい」

「は…はいいッ…うッ…」アグリアスは涙をぬぐいながら席まで戻った。

先生「…続きまして、『炎』。…ラヴィアン、前へ」

「はいッ」隣のアグリアスを見ていたラヴィアンは立ち上がった。

「…ラヴィアンには、これを」箱の中から『炎』の結晶を取り出した先生は両手でそれをラヴィアンへ渡した。

「はい…」両手で受け取ったラヴィアンは結晶を見つめた。