ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

護衛任務(02)

口ヒゲの男「ここから、オーボンヌ修道院までは7日とかからずに着くであろう。急ぐことはないぞ。ゆったりと行け。むしろ、目立たぬように町中や舗装された道を歩かないようにせよ。何者かに我々の動きを嗅ぎつけられたくはないのでな。修道院へと到着したら、シモン殿へ直接この書状を渡すように。…これは、お前に預けよう」

口ヒゲの男は封がなされている書簡をアグリアスへ手渡した。

「…ハッ」両手で書簡を受け取ったアグリアスが返した。

口ヒゲの男「兵糧(ひょうろう)班へ伝えておくので兵糧は各々、好きなだけ持っていってもよいぞ。……何か、質問はあるか?」

「…………」背後からみた四名の女騎士たちは黙っている。

口ヒゲの男「……ないようだな。お前達の働きに我が騎士団の命運は握られている。…王女様に無礼のないよう、注意を払え。お前達の失敗と失態は、そのまま騎士団へ降りかかるものと考えよ。場合によっては末代(まつだい)までの恥となるだけにとどまらず、近衛騎士団の解散にまで発展するやもしれん。…心身を引き締めて、任務へと臨むことだ」

口ヒゲの男は地図の下に細い棒を置いた。

「…………」真横からみた四名の女騎士たちは黙っている。

口ヒゲの男「任務が終了し、お前達が騎士団へと帰還したあかつきには『それなりの褒美(ほうび)をとらす』と団長殿はおっしゃっておられた。無論、元老院側からの褒賞(ほうしょう)も期待できるぞ。それにともなって、特進もあるかもしれぬ。お前達の受ける誉(ほま)れは我々の誉れともなるのだ。…すべてを踏まえた上で各々、協力をして精進に励むように。…私からは以上だ」

「…………」斜めの後ろからみた四名の女騎士たちは黙っている。

口ヒゲの男「これにて、辞令の受け渡し並びに任務の説明を終える。…起立!」

立ち上がった四人は敬礼する口ヒゲの男へ敬礼を返した。

手を戻した口ヒゲの男は教卓からツヤが有る黒い盆を抱え、教壇から降りて、会堂の出入口まで歩いて行った。

口ヒゲの男の足音が遠ざかってゆくにつれて、四人はそれぞれが手を下げた。

重苦しい雰囲気の中、四人は立ったままだった。

口ヒゲの男の足音が完全に聞こえなくなるまで、四人はそのままであった。

そして、四人の内の誰かが「…はぁ〜〜〜〜」と、大きなため息をついた。