ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

護衛任務(01)

広い会堂の正面には長方形の教壇(きょうだん)があり、その後ろに王都を中心として描かれた大きなイヴァリース国の地図が貼られていた。

教壇のある所は一段高くなっており、その手前に四つのイスが置かれている。

イスには右から、アグリアス、ラヴィアン、ローラ、アリシアが座っている。

四人を前に立っている口ヒゲの男は、細い棒で地図を指した。

口ヒゲの男「…以上が任務の詳細となる。各々、分かったであろうか。遅くとも明後日(あさって)には目的地へ向けて、出発するように。…あらかじめ言っておくが、チョコボは出せん」

「…………」真正面からみた四名の女騎士たちは黙っている。

口ヒゲの男「お前達に渡した辞令により、この任務が終了するまでの間はアグリアスを隊の長(おさ)として行動することとなっている。…初めてのことゆえに戸惑うこともあろうが、訓練通りにやれば大丈夫だ。各々、心してとりかかるように。…特にアグリアスよ、よいな?」

「ハッ」アグリアスは、はっきりとした声で返した。

口ヒゲの男「うむ。…装備は演習時と同じものでかまわんぞ。合戦(かっせん)をするわけではないので、重装備はいらん。修道院へも徒歩で向かうこととなるし、修道院自体がそれほど大きな建物ではない。王女様を護衛する際に身動きがとれなくなっては、かなわん。…醜態(しゅうたい)をお見せしては、この騎士団の存続にもかかわる」

「…………」斜め前からみた四名の女騎士たちは黙っている。

口ヒゲの男「追加装備として…白色のマントを各々へ与える。これは団長殿のご厚意ゆえである。『雨風と、特に日光をしのげ』との仰(おお)せだ。…あと、アグリアス。お前には最近、専用の衣服が支給されただろう。今年から制定された我が騎士団の騎士であることを示す士官服である。…それを着用して、任務に就くように」

「…ハッ」アグリアスは反射的に返答した。

口ヒゲの男「『任務従事章』と『隊長記章』は、フリードリヒ殿よりいただいたであろう。…新型の活版(かっぱん)印刷機がゴーグより届くのが遅れてな。…なんでも、『骸旅団』の者たちが荷車を襲った、とのことだ。…辞令と記章の受け渡しが前後したのは、まことにすまなかった」

「…………」俯瞰(ふかん)からの四名の女騎士たちは黙っている。