女は橋を渡ってから、公園まで来た。
公園内でも、火山灰や軽石が一箇所へ集められている。
女は公園に入ってから空を見上げた。
どうすればいいのか、すべてが分からない。
ふふ…ふふふふふふふ…。
どうして…笑っているのか…。
何も楽しくなんか、ないのに。
ふふ…ふふ…ふふふ。
自分らしくないではないか。
このような時にこそ、冷静沈着であるべきだろう。
…自分らしく?
なに?
それ?
…与えられた性格を「自分の性格」として、自分を演じていただけだ。
自分らしさなんて、元々どこにもない。
わたしには拒否することもできなかった。
わたしなんて、どこにもいないの。
どこにもいないのだから、何だってできる。
…偉そうに。
あなたは…そう言う、あなたはいったい誰なの!?
「…………」
………あ、あぁ。
ア、ア、ア〜ッ!!!
憤った女は樹木を忍者刀で切り倒した。
弱々しい木立は倒れ、隣の木にもたれかかった。
…あ、ハ、ハハ、ハ、フー。
フー。
フー。
フー。
ふふふふふふ。
力こそ、全て!!
木の分際で、わたしへ逆らうんじゃない!
ばかね〜〜〜。
全部…切ってしまおうかな?
連帯責任よ〜。
愚かな同類の負担は、同類でしなさいよ〜〜。
黒魔法で燃やしてやるのも、いいかもしれない。
……人が、モンスターが、木が、草が、花が、何だというのか?
直刀を握る女は首(こうべ)を回(めぐ)らせた。
すると、宮殿が女の目に留まった。
ああっ、ぁあの…宮殿…。
……破壊して、しまいたい。
わたしはすべてを失ったのに…あれが残っているのは許せない。
女はもう一本の忍者刀を腰から抜くや、宮殿めがけて一直線に進み始めた。
公園から出た女は足早に宮殿へ向かった。