ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

要らぬ情報(02)

「ほんとうに…助かりましたわ。近頃…今みたいな客が多くて…困っていたところだったのです…」赤毛の女はテーブルを布で拭きながら言った。

赤毛の女は短髪で美しい瞳と魅力的な唇をしている。

飲み物を運んできた店長の男はもこもこした髪を持っており、女へ頭を下げた。

「妻の言う通りです。これは…お礼です。お代は要りません」

「…そう、ですか。なら…ありがたく、いただきます」女は大きな器に入れられた黄蘗色(きはだいろ)の液体へ口をつけた。

……これといって頼んではいなかったが、店長の男は語り出した。

このような役割をわたしも果たしていたな…と、女は感じた。

…店長の男の話を要約すると、こうである。

この居酒屋の名称と自分の名前は同一であり、ウッディ店長は以前、王都ルザリアの酒場に勤務していた。

その王都を巨大な竜巻が襲い、自分が働いていた酒場は粉々になって酒場の主(あるじ)も壊れた建物の下敷きになり、死亡してしまった。

酒場の主の娘と親しくなっていたウッディ店長は命からがら、王都から彼女と共に逃げてきた。

地震によって完全に倒壊した国内最古の城を迂回して、炭鉱都市ゴルランドまでやってきた二人は、大量の避難民たちと仮設天幕での共同生活を余儀なくされた。

貿易都市ドーターの近海で発生した地震とそれにともなう大津波により、ゴルランドは南から移動してきた人々の避難場所となっていたのだ。

地震はベルベニア活火山へも良からぬ刺激を与えたようで、火山は大噴火をおこした。

ベルベニア地方の西側はほぼ火山灰で埋まってしまい、溶岩や火山弾により死傷した者は数千人にもおよぶ。

ベルベニア活火山一帯はすでに人の立ち入れる状態ではなくなっているらしい。

続いてライオネル領にある、貿易都市ウォージリスの近海でも大地震が発生した。

津波によって、どれほどの被害が出たのかはまだ不明だ。

なぜなら、バリアスの丘よりも南方から逃れてきた人はいない。

ウォージリスやライオネル城のある地域は一度、完全に水没した。

今は城塞都市ザランダを中心にライオネル領全域の再興作業がすすめられている最中である。

又、魔法都市ガリランドを襲った大竜巻は町からレナリア台地までを縦断した。

これによって、ガリランドは壊滅したと聞く。

これらの大災害は二年間立て続けに起こり、人々は「神様による天罰だ」とうわさしている。

地震津波が起きた際、ゼルテニア領へ視察に訪れており、一命をとりとめた教皇や司教、高僧の者たちも「『神罰』がこれ以上引き起こされないようにするため、信者のみなさんは教会で祈りましょう」と各地を行脚(あんぎゃ)し、民たちに説教を行なっている、とのこと。

王都は半壊してしまったが、無事であったディリータ国王とオヴェリア王妃は去年の末に『イヴァリース復興計画』を策定し、これを命じた。

しかし、まだ目に見えるような成果はあがってはいない。

国全体がこうむった被害は大きすぎて、人々は毎日生きるだけで精一杯なのである。

昨年、これといって天災が起こらなかっただけでも、よしとしなければならない………。