ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

好きじゃラムじゃ

水の色(01)

女はベッド上に寝かされていた。 彼女の裸体をしばらく凝視していたラムザは、ごくりと生唾を飲み込んでから首を左右にふり、彼女へと大きな布をかけた。 ラムザとアリシアはフォボハム領の城塞都市ヤードーへ来ていた。 この町では4ヶ月に一度、『市』が開…

戦士の務め(02)

「か…間一髪、だったね…ふぅ…」ラヴィアンはラムザの顔を見て、身体を起こした。 「背中…斬られたんじゃ…」ラムザはラヴィアンの手をとった。 「あー、うん。あたし、ローブの下に『ブリガンダイン』着てたの。だから…ほら……」ラヴィアンは裂けたローブを脱…

戦士の務め(01)

どろどろに汚れたマントをはおっている剣士はさびだらけの剣を振りおろしてきた。 ザッシュッ!!!、という音がして男の代わりに背面を斬られた女は倒れ込んだ。 ラムザはラヴィアンが身代わりとなったため、強盗剣士の凶刃(きょうじん)から逃れられた。 …

主人公の誕生日に

「どう…しま…しょう………」ラムザは両側を代わる代わる見た。 「…疲れたんです。二人とも…早起きして、いろいろと準備していましたから」彼に向かい合って座る女は微笑んだ。 ラムザの右腕にはアグリアスが寄りかかって眠っている。 また、ラムザの左腕にはラ…

人生の目的(02)

冷えきった館へ明かりがついた。 外食から戻ってきた男女はすぐに口論を開始した。 「…あんな、まずいものは初めて口にしたわ」 「夕食を一緒にしてやったのに、なんだその言い方は!」 …などと、男女は向かいあって口ゲンカをしていた。 二人は立ったまま大…

人生の目的(01)

台所の床一帯は炎に包まれた。 焼けるにおいを「いい香り…」と、若い女は感じた。 若い女はもう一度、台所の壁と天井へ向けて黒魔法『ファイラ』を放った。 それから若い女は台所から出るや、一階にあるいくつかの部屋まで行き、火の攻撃魔法を詠唱した。 館…

不在な切れもの

「ほんとうに泡立ち、いい〜」ラヴィアンとアグリアスは広い浴室内で全身を白い泡だらけにしていた。 「…ロマンダ製の石鹸はそうよね。以前…モンスターと戦っていたら、一匹だけ残ったグレネイドが『自爆』して…私達は負傷しなかったが、衣服が『オイル』ま…

無知なるもの

「……以上です」そう言い、アリシアは書類を手渡した。 受け取った書類へ目を通したのはラムザである。 「………。いい、んでしょう……。毎度毎度…感謝しています、アリシアさん…」ラムザはイスに座ったまま、立っているアリシアへ頭を下げた。 「…仲間、厳密にい…

ひかる結晶(09)

「ア、アアア…アリシア…。あたし、ばかみたい、ばかみたい…酔っぱらってるんじゃないのに…あたし…何、言ってんのかなぁ…」ラヴィアンは、おもらししてしまった布団や下着を母親へ見せつけている子供と同様に内心を吐露した。 隠すことなど、もうできそうにな…

ひかる結晶(08)

………。 ………。 ………。 ………。 あたしが…今日、考えていた…コトも…見透かされているかもしれない。 …あんな、あんな…いやらしいコト…も……。 ………。 ラヴィアンは黙って空を見ていることにした。 アリシアも口を閉じて、空を見ている。 …花火は次々とあがる。 宿屋…

ひかる結晶(07)

花火を見た後、さらにアリシアは続けた。 「このような言い方をしたら、語弊(ごへい)を招きかねないけれど…アグリアスはオヴェリア様と離れて、“正解”だった。王女様とではなく…ラムザさんと一緒に好きなだけ行動できる状況がうまれた時、元来の自分へと回…

ひかる結晶(06)

アリシアは答えた。 「ええ。…アグリアスは…本来、おっとりとした性質なんだよ。しかし、ご両親からの教育や期待に応えようとして…彼女はひたすらに剣術の特訓を積んできた。自分が女であることすら、否定して…武士(もののふ)、武人、戦士として、幼い頃か…

ひかる結晶(05)

腰のベルトを外しつつ、ラヴィアンが言った。 「…ラムジャさんと行動する前のアグリアスは…キリキリしてた。王女様の護衛任務を命じられてから…ずっと」 アリシアは相手が手渡してきたベルトや銃を受け取り、言葉を返した。 「…アグリアスの性格なら、そうな…

ひかる結晶(04)

「…え!?あ、あぁ。…今日で…お祭りは終わり、だな〜って…そんなところ……」ラヴィアンは座り直した。 「うん。5日間で終わるもの、ね」アリシアは飲み終えた器をテーブルに置いた。 「……この、革のやつ。ベルトも…ドレスにピッタリだね。どこで買った品?」…

ひかる結晶(03)

半透明の器に入れられた抹茶色の飲みものをすするアリシアをこっそり見ながら、さらにラヴィアンは思った。 ……あたしが渡した黒いドレス、アリシア…よく着こなしているよな。 …ドレスの中身も…とても、美しいんだけどね。 …そうだな、アグリアスが『生ける戦…

ひかる結晶(02)

いつもと変わらず冷たい目をした友人をラヴィアンは見ていた。 ……知りたい、と思いつつも…彼女の心の奥底をさぐることは…いつまでたってもできない。 アグリアスも酔った時に言っていたな。 『…深き森林を思い浮かべてみて、ラヴィアン。私やあなたが、その…

ひかる結晶(01)

ドーンッという音が空で鳴った。 美しい模様が広がる。 女は言った。 「アグリアスも変わったよね〜」と。 夜空を見上げているもう一人の女はうなずき、言葉を返した。 「たしかに…。月並みな言い方をすると、明るくなった。あと……よく笑うようにもなった」…

愛の鎧(03)

「………。イグーロス城での戦いで…ルカヴィに変身した上の兄が……『父上を毒殺した』と言ってました。…上の兄と……父上の間に何があったのか、父上と上の兄との関係が本当はどんなものだったのかは…僕にはまったく、分かりません。けど、だからといって…毒を飲ま…

愛の鎧(02)

ラムザ「は、はははは…はい。い、いろいろと…そそられます。まことにまことにス、ステキな…お姿でありまする…」 震えてうなずくラムザを見たアグリアスはにっこりした。 「え…あッ!!み、見えてますッ!!見えてますって…」しゃがむアグリアスにラムザが指…

愛の鎧(01)

朝日が窓から射し込んでいる。 チュンチュンと小鳥の鳴き声が外から聞こえてくる。 ベッドに仰向けで寝ているラムザの上には毛布がかけられており、それはモコモコと動いている。 ラムザ「…。…。…。……。…?…ん、ん?…ん…なに、ですか…??」 ラムザは目をこ…

剣と刀と(02)

オルランドゥは困惑しながら返した。 「……並の者ではないな。アグリアス君の師匠のお名前は?」 「フレシア・タルタロス、様です。私の生涯の恩師であります」アグリアスは顔を上げた。 「……フレシア…か。女性…だね。フレシア…フレシア…タルタロス…。聞いた…

剣と刀と(01)

倒れ込んだ女騎士は地面に両手をつき、頭を深々と下げた。 「ままま、参りました……」 茶色いマントをはおっている男は笑った。 「はっはっはっはっはっ…。アグリアス君もなかなかだよ。…見たまえ、この盾が傷だらけだ。斬撃の一つ一つにしっかりと信念が込め…

遠い存在(02)

「…アグリアス君、ここにいたか。ラヴィアン君がおいしそうなパンを焼き上げて、スープを作ってくれたぞ。温かいうちに食べようじゃないか」女は振り返った。 「ああ…申しわけありませぬ。ラヴィアンのやつめ。オルランドゥ様を伝言役に使うなど…。後ほど、…

遠い存在(01)

屋敷の庭に出ている女は樹齢数十年ほどの木を前にして立っていた。 …………。 精神を集中する。 …………。 『明鏡止水の境地を保ちつつも、両手のひらへ鋭気を宿らせる。それから、構えをつくって…対象へと手刀を振りおろす!!!』 …………。 風の音が聞こえてくる。…

秋風(03)

「……。…汚れてなんか、いません。何も…アグリアスさんは、汚れてない。人に汚れ、というものはありません。…一緒に寝てください。安心して…」ラムザはベッドから腰を上げて、アグリアスの手をとった。 「…ラムじゃ……。殿方は…『月の障り』のある女性(にょし…

秋風(02)

バルバネス・ベオルブと新しい妻との年齢は19歳も離れていて、ラムザが誕生したのはバルバネスが42歳、ダイスダーグが21歳、ザルバッグが12歳の時となる。 その翌年にはバルバネスにとっては初めての娘、アルマが生まれた。 イヴァリース国内においては『“天…

秋風(01)

「…アグリアスさーん。お風呂の準備が完了しましたよ」部屋へ入ってきた男は、窓の外をぼんやりと見ていた女に声をかけた。 「…そうであるの。けれど…今日のところは、入浴を控えようと思うのじゃ…」 振り向いた女が返すや、男は怪訝(けげん)な顔になった…

割りたい鏡(02)

…………。 「…ラヴィアンさん、一人でさびしいかな?」 「そんなことはないぞ、ラムじゃ。一人でおっても…にたにた笑っとるはずじゃ」 「……ラヴィアンさん、明るいですものね」 「その通りじゃ。私もそれについては驚くばかりだぞよ」 「ええ」 「1つだけ…1つだ…

割りたい鏡(01)

ここはドルボダル湿原である。 「……あッ…あ…。……。ア、アグリアス、さん……」 「んーんーんー何じゃ?ラムじゃ?」 「そ、そんなに…くっつかないで、ください…」 「えぇええ……。き、ききき、騎士である私は主殿(あるじどの)へ密着してはいかんの……?」 「い…

炎のたどった道(03)

素質が無いのか、ラヴィアンは『乱命活殺打』という名の剣技1つしか、使えない。 『聖剣技』自体の修得は別としても、一人部屋を願う彼女にとってこれは大問題であろう。 “自分が自分の敵”となってしまった、かわいそうなラヴィアンは剣技よりも剣術を真剣に…