ふるいものがたり

いらっしゃいませ。 このサイトには『ファイナルファンタジータクティクス』の二次創作小説があります。

四神の結晶

息吹(03)

男は振り返った。 「おや、お帰りなさい。アルマ様…」 「お帰りなさいませ」 女はイスから立ち上がった。 騎士剣を持った男性が言った。 「ただいまです。吹雪がすごい。雪もひざの下まで積もってる…」 若い女性は駆け寄って、女の腹をなでた。 起き上がった…

息吹(02)

ひげのある男「すみません。…作家という生き物は、心のどこかで話し相手を求めているんです。この屋敷は…わたしが一人で住むには大きすぎる。…わたしには、兄がいました。名をフランク、といいます」 腹ぼて女「フランク…様…」 ひげのある男「はい。兄は独身…

息吹(01)

大きな暖炉が燃えている。 風の音がどこからか、かすかに聞こえてくる。 暖炉の前には古いイスがあり、それには一人の女が腰かけている。 広い部屋は暗く、暖炉の炎以外に光源はない。 ドアが開く音がして、男の声が女の耳へ届いた。 「…どうです?おお、燃…

再会した兄と妹

「兄さんとアグ義姉さんって…お義姉さんの方が年上でしょ?何歳、離れてるの?」 「え〜〜と…2歳……でしたか?」 「……う、うむ。そうだと…記憶しておったが…」 「……ということは…あたしィが…25歳だとして…兄さんが、26歳?そして…お義姉さんは…28歳?…あと、3…

妹と妻と僕(05)

「えぇ!!?……い、一緒に、行動しようよ。こうなってまで…ばらばらになる必要はないだろう?アルマ…なあ…」兄は妹の提案を真に受けている。 そんな兄の顔を見つめて妹は笑い始めた。 『雪風』も「ブーブー、ブヒヒヒー」と、笑っているらしい。 アグリアス…

妹と妻と僕(04)

アルマはアグリアスに『雪風』を抱っこさせてから、兄へ述べた。 「……風邪をひいて、熱が出たら…頭がぼうっとするでしょう?あたしィ…どうしてか、そうなってるの。…兄さんはどう?」 兄はうなずいた。 「そうだな。僕も…そうなってるよ。アグリアスさんに名…

妹と妻と僕(03)

「…す、すまなかった、アルマッ!!本当に、本当に、申しわけなかったッ!!ゆ、許してくれ…ごめん…ごめん…ごめんよ……」突如として男は湿った大地に両手をつき、謝罪した。 続いて帯剣している女もその隣で同様に謝った。 「す、すみませぬッ!!まことに、…

妹と妻と僕(02)

「!?……ハァ?け…結婚…!?エ、エエエッ!?兄さんと…アグリアス様…が…。結婚!!??……す、す、すごぉいじゃなぁいのぉッ!?ちょっと、何?キタコレ!?兄さん、証拠うp…は、ムリ…ね。…で…本当なの!?本当のことなの!?」アルマは大声で確認をとった。 …

妹と妻と僕(01)

かわいらしい女は湿った草木をかき分けて、出てきた。 ガサガサガサ、という音に見つめあっていた男女は同じ方向を向いた。 「ア、アルマ!!無事だったのか!!」男が叫んだ。 「無事だったわよぉ…。さっきまで…そこにあった沼にはまっていたけども…」アル…

ぬるい風(02)

「………ふぇ、もう、終わりにゃの?」 「も、もう一度しましょう。かわいくて…あなたが…」 「ラムじゃあ………して…」 「…………」 「…………」 「………やわらかい、です」 「……そうなの?…お主にだけ、許した唇であるぞよ」 「……たくさんの人と…チューすると…唇って、か…

ぬるい風(01)

「のぅ、のぅ、のぅ、どう思っとるん?どう思っとるん?」 「…ここが、どこなのかってことですか?」 「そうでのぅて。私のことじゃッ」 「え……。だ、大好きですけれど……」 「あ、ああああぁ〜〜!!ラムにゃよぉぉぉぉッ!!」 「おおおおっ、ぉぉぉおお、…

追憶(07)

「うるさぁいんですよ…さっきからぁ…どこかできいたこえ、ですが…おんち、ですねぇ…」 男の声がしたため、女は顔を上げた。 女から離れている場所で髪の毛の一部が逆立っている男があお向けに寝ている。 全身を倦怠感(けんたいかん)に支配されつつ、女は身…

追憶(06)

♪……わが国を照らす、太陽の 光を浴びて、いざ進む 王都から進軍するは、勇士の揃った精兵(せいびょう)軍団 東へと豊穣の大地を抜けて、長き河を越えよ 領土を侵す、隣国兵 我が国王の手足にて、一掃殲滅(いっそうせんめつ)撃てや撃て 輝く御旗(みはた)…

追憶(05)

………師は様々な衣装で我らへご教授なさっておられたな。 魔道士の姿の時もあった。 鎧姿の時もあった。 東国の着物の時も、華やかなドレスの時もあった。 教官服の時もあったし、私が支給された士官服の試作品を着用しておられることもあった。 どのような、…

追憶(04)

なぜ…騎士である私が、教会を侮蔑(ぶべつ)するようになったのか? それは…ラムじゃが…一方的に“異端者”と認定されてしまい、教会の有する武装集団『神殿騎士団』は主殿の妹御(いもうとご)、アルマ様を拉致・監禁したうえ、『聖石』を用いて祖国を混乱さ…

追憶(03)

……師へ私は『アイアンソード』を握りしめて、向かっていった。 私の剣の刃は宙を舞うばかり。 一撃も、師をとらえられない。 かすりもしない。 師はご自身の持つ剣で私の斬撃を防ぐこともなく、次々と私へおっしゃられた。 「…肩に力が入りすぎている。切り…

追憶(02)

私の同期生、男女を問わずに…全員が師へ斬りかかっていった。 その日の訓練時間が終わるや、私は『己の実力の低さ』を痛感した。 私の内部に建っていた『金色の塔』は腐り果てて、倒壊してしまったのである。 …私の能力など、この程度だったのか。 父上や母…

追憶(01)

あの御方(おかた)はおっしゃられた。 「そうそう…あとね…わたしのこと、殺すつもりでかかってきていいから〜」と。 そのお言葉に私は衝撃を与えられた。 士官学校でも剣術や槍術の訓練は幾度(いくど)も行なってきた。 士官学校の教官と一戦まじえる、と…

再会(02)

「……士官学校の時も、計算は不得意だったものね」女は言った。 「それ、それ、それ。…『砦の最上階から発射した弓矢の有効射程距離』なんて…算出できるかってーの。あっはっははははははははっ…。ものすごい逆風の中、弓矢を発射したらどうするんですかね?…

再会(01)

城内の階段を登った男性と女は一つの部屋まで歩いた。 部屋の入り口には【団長室】と書かれた板が打ち付けられている。 「ここです。ここが団長様とローラ教官のお部屋です。今…ボクが取り次ぎますので、お待ちください」男性は女へ説明してから、大きなドア…

水中花(02)

…………襲撃、と言った。 何に…襲撃されたというの? 竜巻や…天災の類? それとも…モンスターの群れ? いいや…それは考えにくい。 ならば…人? 王家に反旗を翻す…武装集団か、何か? ゲオルク・マインドル……とは、いったい誰なのか? そもそも……それが起こった…

水中花(01)

門には飾り文字で『ニューンベルク城』とある。 しかし、『ニューンベルク城』はほぼ崩れてしまっており、残骸状態でその姿をさらしていた。 …城の西にあった塔が倒れている。 塔は城の中心部に向かって崩れ落ちており、特に城の西側は原形をとどめてはいな…

許されぬ変化(03)

両手に一本ずつ、直刀を握りしめた女は異様な目付きをしている。 その女に出会った者たちは誰もが怯えた。 王都の西側から中央部まで急いだ女は脚がもつれて転倒してしまった。 女は「どうしてこんなに足が疲れているのかしら?」と考えて、目前に転がった二…

許されぬ変化(02)

女は橋を渡ってから、公園まで来た。 公園内でも、火山灰や軽石が一箇所へ集められている。 女は公園に入ってから空を見上げた。 どうすればいいのか、すべてが分からない。 ふふ…ふふふふふふふ…。 どうして…笑っているのか…。 何も楽しくなんか、ないのに…

許されぬ変化(01)

目をらんらんとさせ、走っていた女は立ち止まった。 『おじさんとおばさんに会えば、楽しくなれる!』…そのように女は考えていたのだ。 …工具店は無かった。 工具店が建てられていた場所は、うずたかく積まれた木材とレンガ及び石材の置き場へと変化している…

塗炭(とたん)の中(03)

人というのは、引き裂かれた存在ではないか。 生まれ落ちた時から、父親と母親に引き裂かれ、善と悪に引き裂かれ、上と下に引き裂かれ、右と左に引き裂かれ、男と女に引き裂かれ、愛憎に引き裂かれ、幸福と不幸に引き裂かれ、生と死に引き裂かれ、醜さと美し…

塗炭(とたん)の中(02)

…………。 ………どうして…どうして…なの…。 どうして…こんなことに………。 女はへたり込んだ。 悲しい。 つらい。 切ない。 苦しい。 むなしい。 嫌だ。 けれど、けれど…自らの設定上、涙は出てはこない。 …涙の代わりに激しい怒りはわき起こってくる。 怒りを憎し…

塗炭(とたん)の中(01)

「おばさんとおじさんの店に…行ってみよう!!ふふふふふふ……」 王都ルザリアへ入った女は町の西側に建っている士官学校を目指した。 ルザリア地方にある士官学校は通称『中央校』といわれており、又、『ルザリア校』とも呼ばれていた。 これは貴族の子息や…

胸にあいた大穴(02)

エリーおばさんが、あの母親の妹なのだというのを…素直に受け入れられなかった。 だって、性格が違いすぎるもの。 エリーおばさんは…わたしをいじめたりしなかった。 イアンおじさんも、そう。 二人は心優しかった。 そして、それが、どれほどにつらかったこ…

胸にあいた大穴(01)

王都の方角からやってきた鳥車(ちょうしゃ)を操る男は返した。 「…あんたが何者かは知らないが、救援物資をここで売ってやるわけにはいかない。ゴルランドには待っている人達がたくさんいる。すまないが、あきらめてくれ」と。 男の受け答えが癇(かん)に…